ブログと雑誌で「文章の書き方」ってどれくらい違う?【文章例3つで比較】【ブログはわかりやすさ】【雑誌は想像させる余白】

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ニィニ

いい文章書きたいな~~

思いますよね。

私もいつも思っています…。

でも、「いい文章」ってなんだろう?

わかりやすいこと?心を動かせること?

答えは、「なんの媒体で発信するか」で変わると思います。

ブログの書き方で雑誌の記事を書くと無機質に感じるし、雑誌の書き方でブログの記事を書くと、わかりやすさに欠けます。(個人的意見)

そこで本記事では、元激務編集者の私が「雑誌の書き方」とはどういうものか?

ブログとの比較から、解説してみたいと思います。

目次

雑誌とブログの決定的な違い

ニィニ

就活の面接で聞かれそう…

物理的な違い、発信のスピードはもちろんですが、私は伝え方が1番違うと思います。

「偶然」の雑誌

雑誌は、偶然の情報が多いです。

ニィニ

パンの特集だから買ったんだけど、別のページに旬の料理が載ってて、うなぎ食べたくなって帰り道で結局うなぎ買ったんだよね

ニィニ

お気に入りの俳優が表紙だから買ったのに、初めて見るアイドルがすごく可愛くてファンクラブ入っちゃった

ひとつの興味がきっかけで買ったら、知らない世界に出会えてしまう。これが雑誌のだいご味です。

興味のなかったものでも、「購入した雑誌」というフィルターを通せば、受け入れやすくなりますよね。

編集者が情報を厳選して、組み合わせて、提案してくれる「1冊」は、いわば、ひとつの世界

モノとしての価値も大きいです。

「必然」のブログ

一方、ブログを通して出会う情報は必然です。

ニィニ

掃除機欲しいから「掃除機 安い コスパ」で調べようっと

ニィニ

「iPhone 新作 いつ」で調べたのに、歴代のiPhoneの紹介から始まって読む気が失せたわ

ブログ(WEB媒体)では、ユーザー(検索者)が調べたい情報までの最短距離が求められます。

調べたい情報までに行き着く手間、スピードはもちろん、理解するまでにかかる時間もすべて最短距離が理想的。

  • 簡単な言葉で
  • わかりやすい順序で
  • 情報がまとまっている

これが「いい記事」の典型です。

「パン おいしい」と調べて、「うなぎ」にたどりついて、うなぎの方に購買意欲が湧く。

この衝動をブログで再現するのは、難易度が高いです。

求めている情報以外は、雑音。だからこそ、ブログなどのWEB媒体は便利です。

ニィニ

もはや日常とは切り離せないよね

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3つのテーマで「雑誌の書き方」を解説

では実際に3つのテーマで文章を作って、比較してみましょう。

なお、文章を構成するうえでの情報量・文字量はほぼ同じです。

わかりやすくするために、特徴を過剰に意識して構成しています。

店のアイスコーヒーを紹介する場合

ここでは雑誌の「想像させる文章」を取り上げます。

ブログなら

喫茶まろんのアイスコーヒー(450円)
創業から10年間、ずっと1番人気のアイスコーヒーです。
豆が深煎りで濃くて、スッキリとした味わいだったので、2杯も飲んじゃいました~。

雑誌なら

喫茶まろんのアイスコーヒー(450円)
くびれたグラスが卓越なる香気を放つ理由は、深煎りの豆にある。
創業以来10年間、不動の1位を誇るキリッとした苦みに、暑さがスーッと和らいでいく。

ブログでは、端的に事実と体験談を並べています。

事実

一方雑誌では、「その場にいることを想像させる」文章が多いです。

香りを想像させる

香り・光・音・人の行動など、その場でしか味わえないシチュエーションを文章に含ませることで、そこにいる自分想像させます。

読者に

ニィニ

あぁ~なんかいいなぁ、今度の休み行こうかな

と、自分ごととして捉えてもらえるように。

さらに言えば、文章で店の個性を出したいので、店主の名前や言葉、経歴など「この店にしかない情報」を入れることも多々。

すぐに使える情報」が求められるブログの場合、店主の名前は必要ないですよね。

それなら、駅から何分か・席の数・喫煙席の有無を書いた方がよっぽどいい。

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店のお弁当を紹介する場合

ここでは雑誌の「キャラクター性のある文章」を取り上げます。

ブログなら

喫茶まろんの日替わり弁当(700円)
1番のおすすめは、水曜日の自家製ハンバーグ弁当。酸味のある濃厚なソースで、ごはんが進むんです。
メインは肉と魚の2つから選べて、副菜もなんと8種類から5種類を選べます。
1ヵ月間毎日通ってますが、曜日によって弁当の内容が変わるので、まったく飽きないんですよ。

雑誌なら

喫茶まろんの日替わり弁当(700円)
「たかが喫茶店の弁当」と、あなどることなかれ。
メインは肉or魚の2択で、副菜は気分で8種類から5つをチョイス。これが毎日変わるんだから、訪れる楽しみは尽きない。
1番の魅力は水曜日の自家製ハンバーグ弁当。鼻孔をくすぐる濃厚なソースに、毎度「ひとり米騒動」だ。

①と同様、ブログでは事実と体験談を並べています。

一方、雑誌の文章には「キャラクター性」を持たせました。

今回はテーマが「喫茶店の日替わり弁当」なので、筆者を「毎日通う常連サラリーマン」と仮定して、言い回しでキャラクター性を出しています。

「キャラクター性」を持たせる理由は、人の気配があることで文章が声になって再生されて、親近感が湧くことで情報を受け入れやすくなるから。「~だ」「~である」など文語体が多くなってしまう雑誌は、ブログに比べると人の気配が少ないんですよね。

もう一例あげてみますね。

たとえば、この写真が特集のタイトルページだとします。

朝活のすすめ」の下に、リード文を入れるとしたら、どんな内容にすれば「わぁ~気持ちよさそう。行ってみようかな」と心惹かれますかね…。

ブログなら

この森は、静岡の山奥で撮ったものです。
1人で行ったんですが、壮大な景色にもう…泣きそうになるほど感動。
早朝4時だったので空気が冷たくて、生まれ変わったような気分でしたね~。
せせらぎの音の癒し効果がすごくって。明日へのエネルギーをもらえました。

雑誌なら

静岡の山奥。早朝4時。
息を吞むほど鬱蒼とした緑に足が止まり、思わずシャッターを切った。
凛と澄んだ空気が鼻の奥に冷たく染み込んで、新しい気分をくれる。
遠く聞こえるせせらぎに揺られながら、明日への活力を体いっぱいに取り込んだ。

ブログと雑誌で、内容は同じです。

しかし雑誌では、ひとりで森に行きそうな、物静かなキャラクター性を持たせてみました。

(①で解説したように、「その場にいることを想像できる」描写も入っています)

どんなキャラクターにするか?に、たったひとつの正解はありません。

しかし、テーマに合うターゲット像をしっかりと定めることが重要です。

ニィニ

「口コミ感」「体験談感」「筆者感」が出るようにね

インタビュー記事で人物を紹介する場合

ここでは雑誌の「限界までまとめられた文章」を取り上げます。

ブログなら

きしゃ

「カフェ海かよ」を手掛けるしゃちょうさん。起業のきっかけってなんだったんですか?

しゃちょう

学生時代にカフェでバイトをした経験があって、その楽しさが大人になっても忘れられなかったんですよね。
大学を出てメーカーに入社しましたが、4年で退職して。知識もなかったんですが、自分で小さなカフェを始めることにしたんです。それが始まりでした。

きしゃ

へぇ~小さなカフェ。コンセプトはなんだったんですか?

しゃちょう

海のない町なので「海辺の開放感」がテーマでした。今は全国に7店舗展開していますが、全部海のない地域です。私自身、海のある暮らしに憧れがあるんですが、今でも住んでいる町に海はないんです(笑)。この「憧れ」が、いい店を作る原動力のような気がしてるんですよね。

きしゃ

なるほど。今後も海辺に作る予定はないんですか?

しゃちょう

ないですね。今後も私のように「海にある暮らしに憧れた人たち」に向けて、理想の世界を届けていきたいと思っています。

雑誌なら

今や全国に7店舗を構える人気店となった「カフェ海かよ」。その始まりは、代表を務める「しゃちょう」さんの大学時代までさかのぼる。「カフェでのバイトの楽しさが忘れられなかったんですよね。卒業後メーカーに4年務めた後、小さなカフェを開いたのがきっかけです」。
「カフェ海かよ」のコンセプトは、名の通り「海辺の開放感」だ。しかしポイントは、すべての店舗が「海のない地域にある」ということ。いわば、海へ憧れている人が、手軽に行ける“海”の役割を担っているのだ。
とはいえ、いつか本物の波の音が聞こえる「カフェ海だよ」が誕生することはあるのか?彼女に尋ねると、「海の近くには作りません。私自身が海に憧れているのに、今でも海のない町で暮らしています。「憧れ」こそが、いい店を作る原動力のような気がして」という答えが返ってきた。
強い憧れが生んだ、夢の中の海。本物以上の「理想」がここにある。

ブログも雑誌も、どちらも全く同じ文字数です。

普段活字に触れる機会が少ない方は、ブログのほうが断然読みやすいと感じるでしょうし、手っ取り早く全体像を理解したい人には、雑誌のほうがいいと感じるかもしれません。

この2つの文章で解説したいのは、「雑誌の文章は流れにそって情報がまとめられている」ということです。

雑誌には「文字数制限」があります。これは新米編集者が、最初にぶち当たる壁かもしれません。

インタビュー内容をほとんどそのまま掲載できれば、そら、わかりやすいに決まってます。

ただ、その中から情報を厳選して、削って削って整えて…限界までまとめたのが雑誌なんです。

  • 長いインタビューから載せる情報だけをピックアップして
  • 取材対象者の言葉を趣旨を変えずにわかりやすく言い換えて
  • 序章や接続詞で文章に流れをつけて
  • 核となる部分をわかりやすくまとめたり加えたりして
    (いわば、海へ憧れている人が、手軽に行ける“海”の役割を担っているのだ。等)
  • 締める
    (強い憧れが生んだ、夢の中の海。本物以上の「理想」がここにある。等)

おおざっぱですが、こんなふうに編集します。

今回は同じ「文字量」というのをひとつ軸にしていましたが、実際はブログよりも雑誌の文章のほうが圧倒的に短いです。

このブログは6,000字を超えそうですが、雑誌で6,000字を書いた経験はありません。

長くても1,500~2,000字程度。それでも「字、多いな…」と感じてしまうのが雑誌です。

つまり雑誌に載っている文章は、ものすごい量の情報を切り捨てして、最後に残った結晶なんですよ…。とほほ。

おわりに

ニィニ

ちょっとマニアックだったかな…

私は紙媒体出身ですが、こうしてブログも書いているし、どちらも大好きです。

ただひとつお伝えしたいのは、もっと雑誌を読んでみません?ということ。冒頭で話したように、雑誌は編集者が作る、ひとつの世界。WEBで検索して出会う便利な情報とは、まったくの別物です。

多くの雑誌が休刊して、出版社が倒産する昨今。実際に私が作っていた雑誌も、今はWEBサイトに変わりました。

雑誌が大好きだから、とにかく途絶えさせたくない

この記事を読んで「ちょっと気分を変えて、雑誌でも読もうかな」と思ってくれる方が1人でもいらっしゃったら、ほんと、幸せです。

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